会社設立にあたっては、取締役会の設置の有無、監査役の設置など会社での意思決定の機関の設計、 発行する株式などの会社の基本的な事項を定款において定めることが出来ます。それらは当然、会社法に乗っとった事項でなくてはなりませんし、定めのない事項は会社法によります。
定款には絶対的記載事項や相対的記載事項や任意的記載事項がありますが、この中でも相対的記載事項とは定款に記載しないと、定款そのものが有効にならない規則です。
会社設立定款での自治
様々な会社形態を考える上で、定款をどのような内容にするかを決定する場合に、「定款自治」という概念があります。「定款自治」とは、新会社法から導入された新しい考え方を示す重要なキーワードであり、「法律で許された範囲内ならば、定款に規定したことの方が、法律の原則規定よりも優先される」ということになります。過去に「定款自治」という考え方が重視されて来なかったのは、商法では、定款で任意に定められる部分が限られていたことに加え、法律が想定している株式会社というのはある程度は大きな企業だったからと思われます。
そのため、中小企業でも、法律上の体裁をまず最初に考慮し、ある程度以上に決まり切った内容での定款しか作れないものでした。
現在では、株式会社でもこの定款自治、そのものは有効なのですが、特に、合同会社では会社法でも機関設計やその他においてあまり縛りがないので、定款の記載内容に関しては定款自治、自由度が高い会社形態と言えます。
合同会社は設立コストが安く、公証人の認証がいらない、取締役会の設置が要らないという点で論じられやすいのですが、従来の会社形態にはない自由さこそがその魅力です。
利益損失の配分や残余財産の分配などもそれぞれ誰がどのように決定するかを定款であらかじめ定めておくことで、出資比率に寄らない利益の配分さえも可能です。
株式会社か、合同会社かよりも、その内容、実態で評価
ただ、これからは、定款を見ても、場合によっては、設立趣旨書などがないと詳しい部分はよくわからないという事項も多くなってきています。
更には、株主が1名、資本金1万円以下というような形態での会社も多くなることが予想されていますので、会社への与信や信用調査は従来よりも厳しくなりつつあるのが事実ですから、株式会社か、合同会社か、というよりも、その内容、実態で評価される時代が確実に到来してきています。