賃貸マンション含め日本の不動産が「爆買い」されている!

都心のタワーマンションなどが人気で中国人に爆買いされていると言われていますが、外国人が投資用に賃貸マンションを購入する例は多くなっているという印象があります。

なかには中古の賃貸マンションを購入するケースもありますが、これは賃貸マンションの入居者側からみると、ある日突然オーナーチェンジとなり、大家さんが外国人に代わるということです!

このようなケースで何が問題となるのでしょうか。

オーナーチェンジでの契約書の書換えは、契約内容の見直しに繋がる

オーナーチェンジとなると、ある日突然、新しい管理会社から「契約書の書き換える必要があるので新しい契約書にサインをしてください」と書類が送られてくることがあります。

これには要注意です。

契約書の更新のケースでは、新たな契約を締結するわけではないため、不動産仲介業者による重要事項説明がないことがほとんどで、契約内容の変更箇所に気付きにくいのですが、契約書の内容に変更箇所がないか、サインをする前にチェックをすることを忘れないでください。

■そもそも契約書の書き換えに応じる必要はあるか。

本来、賃貸でオーナーチェンジがあった場合、マンションの契約はどうなるでしょうか。

賃貸マンションの契約は、基本的に新しいオーナーに全て引き継がれます。新たしいオーナーは、「以前のオーナーが締結した賃貸契約の付いたマンションを購入した」という取り扱いになるということです。

従って、本来、契約書の書き換えも必要ありません。

また「契約の書き換えに応じない場合は契約の更新をしない」と言われたとしても、あわてる必要はありません。
法律的には、正当な理由がなければ契約の更新をしないなどということはできません。この場合は、以前と同一条件で更新します(法定更新と言われます)。

入居者の立場として契約内容の変更が不利となる場合は、あわてて契約書の書き換えに応じてしまうのではなく、まずは変更点の確認を行い、それからしっかりとした協議をすることが大切です。

■入居者とのトラブルがより深刻になっていくことも…。

少し古いデータになりますが「民間賃貸住宅を巡る現状と課題(平成21年7月国土交通省住宅局)」という国土交通省が取りまとめた調査があります。
そこでは、賃貸住宅に関する修繕計画について、過半数の大家さんが「長期的な修繕計画を作成していない」と回答しているという調査結果となっています。

つまり、既存の賃貸マンションについては、修繕計画に基づいて定期的な修繕を行うというよりも、不具合が出た時点で応急処置的に修繕を行うなどの方法がとられている物件が少なからずあるということです。

また先日国民生活センターから2014年度の消費生活相談の概要に関する資料が発表されていましたが、そこで賃貸借契約をめぐるトラブルの相談は全体の6位に位置されているほど、トラブルの多い分野でもあります。
多くは退去時のリフォーム費用の清算をめぐるトラブルです。

外国人に向けて販売されている投資用マンションについて、収益性の算定をするにあたって、大規模修繕等を要する際の費用や個別の物件のリフォーム費用などをどの程度織り込んで算出しているかはわかりませんが、見通しが甘いとそれはやがて入居者とのトラブルに発展する可能性もあります。

例えば、物件の不具合があるにもかかわらず修繕がなされないといったものや退去時のリフォーム費用が過大に請求される…といったトラブルです。

オーナーが日本人であったとしてもトラブルが多いわけですから、これからは外国人オーナーとのトラブルも想定する必要があると思います。

外国人オーナーでの問題が顕在化するのはこれからかもしれません。外国人に爆買いされた不動産をどのように管理されているのかということについては、今後の動向を注意深く見守っていく必要があります。
それまでと同一内容であると安易に考えてサインをしてしまうと、実は契約内容が変更となっていた…というケースが多いからです。

家賃や共益費などの月々発生する費用について変更となっていないと気づきにくいかもしれませんが、実は契約の更新の際に更新料が発生するように変更となっていたり、退去する際に修繕費用の負担に関する部分についての契約条項が変更となっていたりする例もあります。
十分な注意が肝心です。