ワタミ自殺裁判 カルト教団並みの勤務実態?
今やブラック企業の代名詞になった、あのワタミです! 労働環境を見ると、意外に創業者社長なればこそ、犯しやすい、間違いやすい点もないわけではありません・・。
女性新入社員の自殺による過労死、裁判では和解という結果になりましたが、この裁判の中で明らかになった様々な事実がありました。
2008年、「和民」で働いていた26歳の女性社員が、入社わずか2ヶ月後に自殺しました。この女性は深夜勤務で、時間外労働が月140時間を超え、休日や休憩もほとんど与えられていませんでした。
労基署は、彼女の死を労災と認定。
遺族が、安全配慮義務違反で損害賠償を求め裁判を起こしたものです。
今回、和解が成立し、一応、事件は終結となります。和解内容も、公にされています。
今回の裁判の中で明らかになったことをいくつか挙げます。それは、彼女を直接雇用していた「ワタミフードサービス」が、労基署から受けた「是正勧告」と「指導票」から明らかになったものです。
(1)研修会への強制的な参加や課題リポート作成のための時間を、労働時間と認めなかった。
(2)研修等に必要な渡邉美樹氏の書籍代金を、給料から天引きしていた。
(3)研修では、渡邉美樹氏の理念集を丸暗記させ、満点を取るまでテストが繰り返された。
(4)休日に、ボランティア名目で研修を行っていた。当然、その研修には、賃金が支払われていなかった。
(5)就業規則を労基署に届け出ていなかった。
(6)法定の休憩時間を与えていなかった。
(7)36協定が結ばれていなかった。それにも関わらず、従業員に残業させていた。
(8)社員に健康診断を受けさせていなかった。
研修の時間に対して賃金を支払わないのは違法性が高いものです。研修も、それが強制や義務であるならば、労働時間です。(労基法24条)
給料から天引きするには、労使協定の締結が必要です。給与からの天引きはできません。(労基法24条)
休日労働や残業を行わせるにも、労使協定(36協定)が必要です。(労基法36条)
休日労働や残業には、割増賃金を支払わなくてはなりません。(労基法37条)
就業規則は、労基署へ届け出て、従業員に周知しなければなりません。(労基法89、90条)
休憩は、労働時間の途中に与えなければなりません。休憩とは、完全に労働から解放されていなければなりません。(労基法34条)
従業員に対して、雇い入れ時と1年以内ごとに1回、医師による健康診断を行わなければなりません。(労安法則43、44条)
そして、損害賠償請求の根拠となった「安全配慮義務違反」は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」(労働契約法5条)とされています!