主人はこう語っていたという。「ウチには数カ月前から予約した客がみえる。いくら大統領のためでも、予約客を帰らせるわけにはいかねえ」、これが銀座職人の心意気。江戸っ子だねえ!これこそ、職人。いや、日本人の心意気だ!

大統領より予約客優先 銀座「てんぷら近藤」の心意気– 日刊ゲンダイ(2014年4月26日10時26分)

寿司外交は本来、天ぷら外交になる予定だった──。
オバマ大統領の訪日初日、安倍首相が夕食の場に選んだのは銀座の高級寿司店「すきやばし次郎」だったが、ここに落ち着くまで政府の店選びは二転三転。
一度はオバマに天ぷらを味わってもらうことも考えたが、提供する店側に断られていた。
政府が候補に挙げていたのは、銀座の「てんぷら近藤」だ。ミシュラン2つ星店で、1人当たりの平均予算は2万円前後と、こちらも都内屈指の高級店である。

今月6日に安倍は来日中だったアボット豪首相を元赤坂の迎賓館に招いて、夕食会を開催。この時に迎賓館まで出張し、アボットに揚げたての天ぷらを振る舞ったのも、近藤の主人だった。
主人の近藤文夫氏は日刊ゲンダイ本紙の取材に「今回も外務省から打診があったのは事実。けど、オレがペラペラしゃべるわけにはいかないねえ」と多くを語ろうとしなかったが、近藤氏と親しい知人が経緯をこう打ち明けてくれた。
「打診があったのは、オバマ来日の2週間前。外務省の担当者は料理を提供する場所や、もてなす相手も告げず、<23日に(天ぷらを)揚げてくれないか>とだけ伝えたそうです。近藤の主人は<相手はオバマさんかな>とピンと来たそうですが、23日は平日で、すでに90人分の予約が入っていたのです」