夢の国のようなディズニーリゾートなのですが、またも労働問題が話題になってきました!
以前にも、雇用の問題から、本来は従業員が支払うべき、社会保険、厚生年金をオリエンタルランドが結局は全額支払った事案が記憶にに鮮やかなのですが、改善された・・という期待はやはり淡いものですね。
「ショーの出演時間は1日5時間45分となっている。しかし、出演と出演の間の時間があるから、拘束時間はもっと長い。でもその時間は休憩時間とされて、賃金が支払われない。出演者に何かあったときのために待機している時間なのに、賃金の対象でないとされている」「契約時に約束した労働時間と実際の労働時間が違いすぎる。そのため、生活設計ができない」「シフトは6時間なのに、2時間で帰された。オープン準備したが、『客いないので帰って』と言われた」などの声が直接あがってきたのは、はじめてのようですが、
オリエンタルランド・ユニオンの舞浜駅前での宣伝行動では3月末日に解雇された元キャスト(従業員)4人がマイクを握り、こう呼びかけていました。
「キャストは苦しんでいます。ウォルトディズニーは素晴らしい世界です。でも日本のオリエンタルランドはキャストを粗末に扱っています。キャストを続けても食べていけません!」
ディズニーリゾート、突然の解雇めぐり従業員が会社を告発、偽装請負と劣悪環境の疑い 2014年5月22日
4月28日付日本経済新聞記事『東京ディズニーリゾート、3年で1200億円投資』によれば、「東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランドは、2014年度から設備投資を大幅に増やす。16年度までの3年間に11~13年度実績を6割上回る1200億円規模を計画、TDR内の2つのテーマパークのアトラクションの入れ替えなどに充てる考え」だという。
「14年度は13年度実績の240億円を8割上回る420億円。15、16年度も400億円台の投資を続ける。14、15年度は東京ディズニーランドを中心にアトラクションやサービス施設を拡充する方針だ。東京ディズニーシーは16年度以降に施設の更新・改良に取り組む」
4月1日からの消費増税に伴い、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの料金も値上げ。約3年ぶりの値上げで、大人の一日利用チケットは200円上がり6400円になったにもかかわらず、4月12日には東京ディズニーリゾートの合計入園者数が6億人を突破したと発表、14年3月期の連結営業利益は前の期より35%増の1100億円強とこれまでの見通し(1066億円)を上回り、過去最高になるなど業績も拡大している。
●食中毒の発生
しかし、6月の結婚式シーズンを前に気になるニュースがある。
5月8日付「MSN産経ニュース」記事『東京ディズニーシーのホテル「ミラコスタ」でノロ集団感染 131人が症状訴える』によると、東京ディズニーシー・ホテルミラコスタ(千葉県浦安市)で4月26日、「結婚披露宴で宴会場を使用した4グループの1~88歳の男女106人と、同日勤務していた19~44歳のホテル職員25人の計131人が下痢やおう吐などの症状を訴え、ノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団感染が発生していたことが8日、ホテルや県への取材でわかった。県によると、重症者はおらず、全員が快方に向かっているという」。
4月29日から5月8日までの10日間、「同ホテルでは40グループが宴会場の使用を予定していたが、ホテルは軽食のみを提供したり、他のホテルを使用するなどの対応を取った。9日からは通常の営業を再開する予定で、ミラコスタの担当者は『今後も安心して過ごしていただけるホテルを目指し、徹底した衛生管理を行う』としている」。
ホテルミラコスタはディズニーシーへの優先入場や、部屋から園内が見渡せるなどパーク一体型ホテルとして人気を集めてきた。
●派遣切りの実態
もう一つの気になる動きは、ショーのリニューアルに伴う派遣切り問題だ。ディズニーランドのレギュラーショーおよびスペシャルイベントに、それぞれ7~17年間にわたりパフォーマーとして派遣契約で出演してきた出演者たちが、「ショーをリニューアルオープンする」という名目で、会社側から3月末での解雇を通告された。出演者たちは、「このままでは夢の場がブラック化しかねない」として、オリエンタルランドに直接雇用を求め、オリエンタルランド・ユニオンを結成したのだ。
オリエンタルランド・ユニオンは3月にオリエンタルランドに対し、団体交渉の開催を求めたが、オリエンタルランド側は、請負業者と請負契約を結んでいる「注文主」にすぎず、雇用契約も指揮命令関係もなければ労務管理にも関与していないので「使用者」ではないという理由で団体交渉を拒否したのだ。
しかし、「ショー出演者の一日は、出勤から退勤までの間『準備・ショー出演・待機』の繰り返しだが、この間の指揮命令のほとんどをオリエンタルランドのステージマネージャーから受けていた」「オリエンタルランドが技術指導を行っている。オリエンタルランドが用意した台本、振り付け通りにやらなければ注意されます。ショーの出演者に裁量権はなく、アドリブは原則禁止だった」「リハーサル後に、オリエンタルランドがリハーサル参加者の中から出演可能者を選別していた」といった事実から、4月28日には、オリエンタルランド・ユニオンの組合員は、オリエンタルランドにおける就業実態は「偽装請負」で職業安定法44条に抵触しているのではないかと東京労働局に申告したのだ。
これまでも出演者や従業員(キャスト)の使い捨て問題が報道されたことはあったが、当事者が声を出すのは異例のことだ。
ほかにも「ショーの出演時間は1日5時間45分となっている。しかし、出演と出演の間の時間があるから、拘束時間はもっと長い。でもその時間は休憩時間とされて、賃金が支払われない。出演者に何かあったときのために待機している時間なのに、賃金の対象でないとされている」「契約時に約束した労働時間と実際の労働時間が違いすぎる。そのため、生活設計ができない」「シフトは6時間なのに、2時間で帰された。オープン準備したが、『客いないので帰って』と言われた」などの声が上がっているという。
現在、オリエンタルランド・ユニオンは定期的に舞浜駅周辺で、ディズニーリゾートで働く人々に相談を呼びかけるビラを配るとともに、オリエンタルランドに対し、団体交渉に応じるように呼びかけを行っている。
「キャストを使い捨てにするな!」「ゲストの夢を守れ!」「オリエンタルランドはブラック企業になってほしくない!」というオリエンタルランド・ユニオンの呼びかけは、オリエンタルランド側に届くのだろうか。