就業規則と民法
年内で会社を退職しようとしたが、退職出来ない!
会社の就業規則では、「自己都合退職は予定日の1カ月以上前に申し出ること」と定められていたために、すぐには退職が出来ないため、困っているとのご相談を受けました。実際、意外に多い事例です。
一般に、就業規則に定めがあることを指摘されると、そうか、決まりだから仕方がないと諦める方もいるのです。
しかし、実はどうなのでしょうか?
労働法から単純に見た場合、就業規則の定めが有効です。それは確かです!
しかし、もしも、従業員、他の労働者が疑問をもったとしたなら、どうでしょうか?
実は、その会社の就業規則にはどう書かれていても、原則、辞表を出して14日経てば辞められるのです。
根拠法は、民法です! 期間の定めがない労働契約の場合、退職の通知をしてから2週間で契約を解除できる旨が定められているのです(民法第627条第1項)。
ただ、労働者は入社時に就業規則を確認しているはずと会社側では捉えています。では、なぜ、就業規則ではいけないのか?
就業規則とは本来、会社側が作成するルールです。そのため労働基準法に違反しないことはもちろんですが、社会通念上、合理的でなくてはいけないという要件が労働契約法に定められています。
更に、注意があります! もしも、就業規則の問題から、労働問題となった場合、最終的には、労働法令ではなく、民法で争われます!
そのため、就業規則を作成する場合、労働基準法に精通した社会保険労務士以上に、民法に精通した司法書士、弁護士のサポートが大きな力となります!
よく問題になり易い就業規則はほかにもあります。
就業規則において、様々な規則により、従業員の退社、出向、異動を定めていても、それも、本来は従業員の同意が必要な場合が多いのです。職種や職場を変更できると就業規則に定めていたところで、もし争いになれば、労働者側が勝つ可能性が高く、もし会社が勝ったところで、無味乾燥です。
会社を守る就業規則! それは、どんなものか、労働基準法、民法、社会通念を知る専門家、たとえば、社会保険労務士に加えて、少なくとも司法書士が関与すべきと思います。
櫻ホームロイヤーズは、司法書士・社会保険労務士、更に弁護士がサポートいたします。
ぜひ、ご相談下さい。