社労士「首切りブログ」を弁護士が検証
威勢がいいのか、非常識なのか、でも、これに近い意見、もしくは明らかに会社対労働者での紛争を招くことを意図する社労士にはよく出会います!
弁護士サイトからの引用となりますが、
実際問題として、うつ病に関しては、うつ病に罹患しやすい『病前性格』が存在するとされています。
問題の社労士ブログで示されている方法を講じたところで、対象の社員がうつ病に罹患しにくい性格である場合は、何の効果もありません。
むしろ反感を生み、余計なトラブルを招くだけになることが大いに考えられます。この点は非常に重要であり、まず大前提として押さえておく必要があります。
問題となったブログでは過激な言い回しをしていますが、単純に行動としてまとめると、おおむね次のようなことです。
(1)就業規則において社員の問題行動1つ1つを明確に禁止する
(2)就業規則に反した者には指導として反省文を書かせる
(3)適切な理由を付して降格・減給の措置を行う
(4)場合によっては、うつ病罹患の直前に休職命令を出し、休職期間満了による退職とする
(1)については、通常ありえる合理的な範囲内であれば、適法とされる可能性は高いです。ただし、特定の社員を処分するために、不自然な形で就業規則に盛り込んだ場合等であれば、パワハラであると認定される際の一つの根拠になるリスクがあります。
(2)については、本人の意向に反して就業規則の根拠なく、謝罪させ反省文を出させるのであれば、憲法19条の思想・良心の自由に反するリスクもあります。また、当該ブログで示されているような、反省文において今回問題となった行動以外の過去の事象についても執拗に書かせたりすることも、違法なパワハラに当たる可能性があります。
(3)については、パワハラ等不当な目的があると認定されれば、懲戒権の行使としての降格・減給処分が無効となり得ます。
(4)については、通常会社側から休職命令を出すには、客観的に社員が就業継続できない状態でなければならないため、医師からこのような状態を裏付ける診断書が出される必要があります。
また、うつ病罹患がパワハラによるものであり労災だと社員から主張された場合、通常、休職制度は私傷病を対象にしているため、そもそも休職命令自体が無効になるリスクもあります。
以上のように、(1)から(4)の行為は、違法とならない可能性がないわけではないのですが、トラブルとなり、会社が社員を故意にうつ病に罹患させようと試みていることが、裁判上立証されることがあれば確実に違法となります。
また、社員を故意にうつ病に罹患させようと試みるという社内の空気ないし雰囲気自体、従業員の働きやすさという観点や企業イメージの観点からも、会社にとって望ましくない側面があります。