地獄の弁護士業界に追い打ち!

一部テレビ局が、問題ある弁護士事務所との付き合いを極力しない方針を固めていたことがわかった。情報番組プロデューサーは語る。

「今までは弁護士と名が付けばその肩書きだけで信頼するところがありましたが、そうも言ってられなくなりました。違法かどうかは別にして、怪しい弁護士事務所をリストアップして、近いうちにNGリスト化する予定です」

 近年、情報番組をはじめテレビ番組には弁護士が起用されることが多くなり、事件について見解などをコメントしているが、こうした動きのきっかけは「いくつかの弁護士事務所で不当な業務内容が見受けられたこと」(同)だという。

  弁護士事務所が批判を浴びた最近の例で思い当たるのは2月、消費者庁が景品表示法違反でアディーレ法律事務所(代表・石丸幸人弁護士)に再発防止を求める 措置命令を出したこと。
同事務所は「着手金を全額返還」という広告を「1カ月の期間限定」などとしながら、実際には5年近くもこれを表示した。

「皮肉にもアディーレは『景品表示法に強い』と標榜していたので、業界内では笑いものになっています。

 さらに、前出プロデューサーは「事件を受任もしていないのに、それを装って取材を受けようとする悪質な弁護士もいる」とも語る。

●物議を醸した広告

 法律事務所をめぐる最近の騒動としては、アトム法律事務所の件も記憶に新しい。

  2月、アトム代表の岡野武志弁護士が「清原和博選手の覚せい剤(覚醒剤)取締法違反の逮捕に関するテレビ取材については、朝10時よりアトム法律事務所新 宿支部、同大阪支部で対応可能です。取材希望のマスコミの方は下記までお電話ください。24時間体制で受付対応しています」と告知した。前出・弁護士が語 る。

「清原容疑者の弁護を受任もしていないのに、紛らわしい告知で便乗商売をしているのではないかと、多くの弁護士が問題視していました。 アディーレよりも悪質です。弁護士職務に関する規程では『誤導又は誤認のおそれのある広告』『虚偽又は誤導にわたる情報を提供』することは禁じられてお り、この規定に該当しないとしても、物議を醸す広告であったことは間違いありません」

 同事務所は昨年、ホームページ上で「漫画でわかる! 強姦事件解決までの流れ」と題したマンガを掲載。「前科がついたら仕事はクビになる」と悩んだ強姦犯に弁護士が手を貸し、被害者との示談が成立するや、加 害者が笑いながら「よおし! 今晩は久々に一杯やるか!」と語るストーリーが批判を浴びた。

「相次ぐ弁護士事務所の不祥事に、テレビ局側が選別の姿勢を取るのは当然です。そもそも情報番組などが弁護士を使いたがるのは、事件報道などで名誉 棄損など不当な報道にならないようアドバイスをもらえる部分も大きいのです。テレビに出る弁護士はそれだけで仕事が増えますから、最近では番組側に積極的 にアプローチをしてくる弁護士もいますので、危ない事務所の周知をスタッフに徹底する必要があります」(前出・プロデューサー)

 日本弁護 士連合会は弁護士法56条に沿って「職務の内外を問わず『品位を失うべき非行』があったときに、懲戒を受けます」としているが、前出弁護士は「コンプライ アンスを考慮して依頼者がどのような基準で弁護士を選定するのかはまったくの自由です」と話す。司法試験合格者数の急増による供給過多で「弁護士余り」が 問題化し、「貧困弁護士」という言葉もクロースアップされるなか、弁護士にとってはより厳しい環境を迎えるといえよう。